#18. 楕円曲線のモジュラー性
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この記事は、数学の素人によるメモ書きです。内容の正確性は一切保証しません
楕円曲線$E:y^2+y=x^3-x^2$の$\mathbb{F}_p$上の解の個数を$p-a_p(E)$とします。
また、$a_n(f)$を以下によって定めます。 $$ f(\tau)=q\prod_{0< n}(1-q^n)^2(1-q^{11 n})^2=\sum_{0< n}a_n(f) q^n $$ ここで$q=e^{2\pi i\tau}$であり,$f(\tau)$は,デデキントのイータ関数を用いて $\eta(\tau)^2 \eta(11\tau)^2$と表され,ウェイト2,レベル11のカスプ形式であることが確認できます。($a_n(f)$はそのフーリエ級数)
このとき、驚くべきことに、素数$p$について $$ a_p(E)=a_p(f) $$ が成り立ちます。
という話を聞いたことがあったんですが、本を持っていない筆者には証明を探すのが大変で、まだ良く分かっていないので、進捗をメモしていきます。

基本情報

まず先にあげた等式はどうやら1954年にEichlerが論文"Quaternäre quadratische Formen und die Riemannsche Vermutung fÜr die Kongruenzzetafunktion" (Springer)で発表したようです。(論文にアクセスできないので確認できませんが、明示的には書かれていないという趣旨の記述も見かけました)
The Arithmetic of Elliptic Curves. by Tate, John T.の§10によると, 実際は, Eichlerは有限個を除く素数について示し、その後Igusaによって全ての素数について示されたようです。
そもそも, 楕円曲線にモジュラー形式が対応するという趣旨の、モジュラー性定理(谷山-志村(-ヴェイユ)予想)は, 様々な分野の言葉によって記述され, 示されたのはガロア表現の対応のようです. この辺りの話についてはA First Course in Modular Forms. by F.Diamond and J.Shurmanに詳しく書かれているようです。
この本では、タイトルの通り、モジュラー形式の基礎から書かれています。 序文では, 二次曲線における類似が書かれていて面白いと思いました。(ヘッケ作用素に対応するものが構成されている)

証明が書いてありそうな文献

A First Course in Modular Formsの内容も一部受け継いだ、Associating abelian varieties to weight-2 modular forms: the Eichler-Shimura construction に証明の流れが書いてありそうな感じがするので、筆者は今これを読もうとしています(が、代数幾何を何も知らないのでハーツホーンに取り組んでいる)。ただし出てくる楕円曲線は上であげたものではなく,$E':y^2+y=x^3-x^2-10x-20$(ヴェイユ曲線(?))です。 この楕円曲線やその他のレベルにおける例はETA-QUOTIENTS AND ELLIPTIC CURVESでも触れられています。
さらに,The Modular Curves $X_0(11)$ and $X_1(11)$では, 具体的な楕円曲線の計算方法が書かれているので、 Associating abelian...と一緒に読むとだいぶ理解の助けになるんじゃないかと思います。
また, このpdfによると, $E$は$X_1(11)$というモジュラー曲線から得られ,$E'$は$X_0(11)$というモジュラー曲線から得られる(?)みたいです。 色々な文献で,$X_0$についてしか書かれていないのでそこがどうやって結び付くのか気になっています。
このpdfに関するMSEの解答に参考になりそうな文献が列挙されているのでチェックしていきたい。